ロルフィング

ロルフィング・ストラクチャル/ムーブメント・インテグレーション

通常、ロルフィングと呼ばれるワークは、実はストラクチャル・インテグレーション(Structural Integration)の一つであり、「ロルフィング」という言葉は、コロラド州ボルダーにあるロルフ・インスティテュートが所有する商標なのです。ストラクチャル・インテグレーションはすべてアイダ・ロルフ博士が作り上げた理論がもとになっています。また、あまり知られてはいませんが、ロルフィングのワークは、ストラクチャル(身体構造)とムーブメント(体の動かし方)という二つの面に分かれています。ロルフィングという言葉は通常、身体構造に働きかけるワークのほうを指します。

ロルフィングは、手技によるワークと身体の使い方を教育することで、重力に対して肉体が最も楽な姿勢を取れるようにします。私たちの身体がきちんと構造的にバランスが取れている場合、重力は楽で美しい姿勢を保たせる働きをしてくれます。しかし、そのバランスが崩れている場合は、身体の歪みが重力によってかえって強調されてしまうのです。ロルファーは身体の筋・筋膜や結合組織に対する手技を通して、筋膜にたまっているものを解放します。そして、クライアントがその時点で最良のバランスを取れるよう、サポートするのです。構造的にバランスが取れていると、身体の内部にスペースが作られ、内臓にかかっている圧力や不必要なストレスが取り除かれます。

セッションの効果を長期的に持続させるためには、構造ワークに加えムーブメントの教育が欠かせません。ロルフィングワークを本当に身につけるには、ロルフィングのプロセスをセラピストだけに任せるのではなく、クライアント自らも関わることが必要なのです。自分の身体の使い方を観察し、理解することは、日常生活での姿勢や動作を正しく保つ助けとなります。ロルファーは、身体の構造バランスを正す手助けはできますが、クライアントの自分の身体に対する気づきがなければ、正された姿勢や動作もストレスを受けるうちに、やがて元の慣れた姿勢に戻ってしまうのです。

ロルフィングクライアントの実例

10回のストラクチャルと3回のムーブメントのセッションで得た結果です。姿勢が良くなったということは一見して誰でも分かると思いますが、見た目より大切なのは、このクライアントの感じ方の変化と気づきが深まったことです。

ワークを始める前は、「Before」の写真の姿勢がこのクライアントにとって最も自然で楽な位置でした。身体の不調はそれほど大したものではなく、肩や首が凝ったり、時々腰が痛かったりしていたそうです。セッションが進むにつれ、腰痛がなくなり、肩の凝りも和らいできたそうです。

ロルフィングによって全身の筋肉や筋膜が伸び、筋肉や筋膜との関係性が改善することによって、今まで身体が取れなかった姿勢が取れるようになります。ただし、クライアントが新しい姿勢が楽だと感じなければ、その姿勢を保ち続けることはできません。セッションの直後に姿勢が良くなっても、時間が経てば自分にとって慣れた「楽」な姿勢に戻ってしまいがちです。つまり、「楽」という感じ方が変わらなければ、本当の意味で楽な姿勢を保てないのです。

しかし、姿勢というものはただ肉体のことだけではなく、精神的な面も含まれています。姿勢には、その人の気分や精神状態、ひいては人生に対する姿勢と関わり方も表れるものです。周りに伝わる雰囲気も違います。「Before」と「After」の写真を見ると違いを感じることでしょう。外から見て変化が分かるということは、本人が内面で感じた変化が大きいということだと思います。

私にとって大切なのは、外見のことではありません。大切なのは自分の内面を知って、それを外側に表現できるということです。鏡や他人の目を自分の基準やバロメーターにするよりも、自分の内面で感じ、気づき、選択していくことができることこそ、本当の意味で自分が生きていることだと言えるでしょう。内面を見つけ、感じ、自分を知ること、そしてそこから人生のさまざまな選択を行っていけるようになること、心と身体を全面的に支えることがこのワークの極致だと思います。