コアプロセス・サイコセラピー

コアプロセス・サイコセラピーは、イギリスのデボン州にあるカルナ・インスティテュートにおいて、モーラ・シルズとフランクリン・シルズによって作り出された、仏教に啓蒙を受けた心理療法です。このユニークなサイコセラピーは、今この瞬間の体験をどう捉えるか、またそれが過去の因子にどう影響を受けているのかということを、観照的なアプローチで探究していきます。このセラピーにおいての「過去」とは、出生前および出産前後の体験をも含みます。私たちが今この瞬間、何を体験しているかを深く気づくことにより、内側で起こるプロセスを観察し、解き明かしていくのです。それはすなわち、経験に対する感情や感覚、微妙なエネルギー、精神過程、そしてそれらがどのように肉体に具現化されているかに気づくということでもあります。セラピーの目標は、私たちの経験そのものを変えることにあるのではなく、自分がどのようにその経験に関わっているのかを知り、その関わり方がどのように苦しみを生み出すのかを理解することにあるのです。この気づきを通じて、私たちの内なる深い叡智が表れ、自ずと癒しにつながっていくのです。

コアプロセス・サイコセラピーの基本概念は、「プレゼンス」(presence = 今この瞬間に意識を注ぐこと)、私たちに本来そなわっている健康、セラピストに支えられた安全な空間、関係性、セラピストとクライアントによる共同作業、潜在意識の領域、経験は関係性の中で生まれるものだという考えなどです。また、気づきそのものが癒しにつながるということも重要な概念です。コアプロセス・サイコセラピーは、健康は私たちに生来備わっているものであり、どのような時も決して失われることがないという信念に基づいています。病や不調は、過去の人生経験やさまざまな因子との関わりの中で、本来ある健康が覆い隠されているだけなのです。人生とは、言い換えてみれば、自分がこの世界とどう関わっているか、その関係の中で私たちがどのように喜びや苦しみを経験していくかということです。

コアプロセス・サイコセラピーの基本概念の一つである「関係性」は、セラピストとクライアントの関係がいかに大切であるかを示唆しています。その重要性は、「セラピストとクライアントの共同作業」という言葉にもあるように、セラピストとクライアントのどちらかが一方的にセッションを進めるのではなく、二人が同じようにセラピーの過程に係わっていくものであることを表しているのです。セラピストとクライアントは、セラピーの中で、共にクライアントの内なる世界を探求していきます。セラピストの役割とは、クライアントのあまり重大でないような経験や、時には言葉に表現されないようなかすかで潜在的な経験をも注意深く聞き、興味を持ち、クライアントと共に探求していくことです。セラピストとクライアントは、今この瞬間の体験を注意深くひも解き、明瞭に理解してゆくというセラピーの過程の中で、人生で起こり続ける出来事に対する、その瞬間ごとの自分自身や世界への気付き―プレゼンス―を身につけていくことになります。気づきを身につけるということは、今この瞬間に自分に起こっていることを、頭だけではなく身体でも理解するという事です。経験というものは、心や身体というように断片されたものでもなければ、善と悪というように二元的なものに基づくものでもないということを、内側から知るということでもあります。私たちがそれを真の意味で理解したとき、そうした気づきそのものが癒しとなるのです。

★ コアプロセス・サイコセラピーについて更に詳しくお読みになりたい方は、カルナ・インスティテュートの講師の論文の抜粋(日本語訳)をここからご覧ください。